形成外科
形成外科 診療案内
けが、ヤケドをしてしまった
けがやヤケドはいつ起こるか予測できないため、予約が取れなくても、まずはお電話にてご相談ください。
けがといっても切り傷、擦り傷、打撲・・・など様々なものがあります。ごく浅いものは何もしなくとも治りますが、深かったり、砂利などの異物が入ってしまった場合は適切な処置をしないと感染の原因にもなります。最初に適切な処置をしたかどうかが、その後の経過に左右します。また20歳くらいまでの方の場合、幼少期に3種混合や4種混合のワクチンを接種していれば問題ないのですが、このワクチンの効果は20歳くらいで切れると言われています。そのため、20歳を過ぎている方は破傷風の予防接種も打つことをお勧めしております。
擦り傷(擦過傷)
擦り傷ができたら、まず石鹸を用いて傷口の砂や泥などを水道水で十分に洗い流しましょう。小石やガラス片、砂やアスファルトなどがみられるときには、病院を受診し、麻酔をして確実にとり切る必要があります。砂などが残ると、外傷性タトウーといってずっと残ってしまいます。また十分に洗わない状態で、完全に密着してしまうタイプの絆創膏を貼ってしまうと、逆に菌を増やして感染のリスクが上がってしまいます。使うタイミングを間違えないことが大切です。
当院では麻酔をした上で歯ブラシなどを使用して十分に異物がなくなるまでブラッシングします。その後、軟膏や被覆材(絆創膏など)を使用し、傷を乾かさないようにすることが傷の治りを早めるだけでなく、綺麗な傷跡になります。
切り傷(挫創、切創)
皮膚が机の角など鋭利なものにぶつかると切り傷ができることがあります。皮膚のごく浅い「表皮」だけが切れた場合は、すぐに血も止まりますし、縫合しなくても平気なことも多いです。しかし、皮膚の下、場合によって脂肪がみえるまでぱっくり開いた傷は、縫合しないと幅広で見た目が悪い傷跡になるだけでなく、治るのに時間を要し感染する心配があります。
けがをしたら病院を受診し、傷の中に異物がないか、また神経や腱、血管損傷がないか確認が必要です。とくに問題なければ、局所麻酔ないし全身麻酔で、傷の中を十分に洗浄した後に適切に縫合してもらいましょう。形成外科ではけがでできた傷も、丁寧に縫合します。そうすることで治った後、半年1年と経過すると、かなり目立ちにくい傷跡になります。当日の受診が難しければ翌日までに受診することをお勧めします。
刺し傷(刺創)
浅い刺し傷では刺さったものを抜いて、洗うだけで問題がありませんが、深い刺し傷では、刺さったものは自分で抜かずに直ちに受診しましょう。レントゲン検査やCT検査でガラスや釘など異物が残っていないかを確認します。また魚の釣り針などの場合、針に返しが付いているため引き抜くことが出来ません。麻酔をして少しメスで切って、針を進めることで取ります。特に錆びた釘などは感染のリスクが上がるため抗生剤を飲んでいただく必要もあります。必ず医療機関を受診するようにしましょう。
咬傷
動物に噛まれた場合や、人の歯が当たった場合、何よりも感染に留意しましょう。とにかくよく洗うこと、抗生剤を予防内服する必要があります。縫合することで菌を閉じ込めてしまう可能性もあるため、よほど大きな傷でない限り縫いません。場合によっては麻酔をして、切開を追加し、菌を出しやすくします。数日間は通院もしくは注意して観察していただく必要があります。
打撲創(挫滅創)
強い力で皮膚や皮下組織が圧迫されることで生じ、腫れや内出血を伴います。交通事故や転倒、スポーツなどで鈍的な力が加わることでできます。氷などで冷却することで、腫れや、痛みの軽減を図ることができます。また、腫れや痛みの程度が強い時は骨が折れていないかレントゲンで確認する必要もあります。
特に最初のうち見た目に問題がなくても、深部の損傷がひどい場合、たんこぶのように血の塊ができ、徐々に皮膚の色が悪くなってくることもあります。この場合色の悪くなった部分を切り取ったり、また中に溜まっている血液を抜いたりする必要があります。数日は安静にし、傷をチェックするようにしてください。
やけど(熱傷)
やけどをすることで皮膚の一部(表皮、程度によっては真皮、脂肪まで)を失います。そのため皮膚のバリア機能が損なわれ、外部からの細菌や皮膚常在菌による感染に留意しなければなりません。広範囲のやけどや深いやけどでは入院や手術治療を要することもあります。また、お子様や高齢者の方のやけどは重症になる場合もございます。適切な加療を行うことは傷の治りを早めるだけでなく、感染のリスクをも減らすことが出来ます。やけどをしないように気を付けることはもちろんですが、万が一やけどをしてしまった場合は専門医の受診をお勧めします。
やけどの程度(Ⅰ→Ⅲになるにつれ、深くなります)
- Ⅰ度:いわゆる日焼けの状態です。赤くなり、ひりひりしますが、数日で後を残さず治ります。
- Ⅱ度:水ぶくれができた状態です。Ⅱ度の中でも浅いものでは2週間程度で治りますが、深いものになると1か月近く治るのに期間を要するほか、手術が必要となります。最初の時点では深いか浅いかの判断は難しく、経過を見ていく中で判断します。やけどを負った時の応急処置や、患者さんの年齢、受傷の状況、治療中の感染、など様々な要因が関与してきます。
- Ⅲ度:黒こげもしくは白くなってしまっている状態です。この場合痛みを感じません。火によるやけどや油によるヤケドでは深くなりやすいです。
やけどを負ってしまったら・・・
まずは冷水で15-20分冷やしましょう。身に着けているものを脱いだり取るよりも、とにかく冷やすことが大事です。その後、専門の医師のいる医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。
また、カイロや湯たんぽ、温風などのあまり温度の高くないものでも長時間接しているとやけどを負ってしまいます。その場合かなり深い傷になることもあり、治るのに1か月以上要することもあります。十分に留意してください。
ほくろやしこりが気になる
ほくろやしこりのできものは、保険手術でとることができます
ほくろやしこりは頭の先から足先まで全身の皮膚や皮下(皮膚の下)にできます。昔から気になっていたほくろや、だんだん大きくなってきたしこり、首やワキのぶつぶつ・・・大半が良性のできものですが中には悪性のできものである場合もあります。「最近急にできて大きくなってきたほくろ」「出血しやすいほくろ」「痛みを伴うしこり」などは検査をお勧めしいたします。当院ではこれらの局所麻酔手術を保険診療にて毎日行っております。部位や大きさによって手術方法を変え、よりきれいに治るように心がけております。手術後には必ず、切除したできもののを行い良性悪性の有無を判断いたします。
ほくろ(色素性母斑)
ほくろは、医学的に色素性母斑といい、色素細胞(メラノサイト、メラニン色素を出す細胞)が変化した母斑細胞の塊です。母斑細胞も表皮と真皮の境目もしくは真皮の中に存在して、メラニン色素を作り出すために、褐色ないし黒色に見えます。子供のころは平らでも、大人になると母斑細胞の数が増えるため大きくなったり隆起したりします。色素性母斑は大きさも形状も様々で、ほとんどが良性ですが、中には悪性のものもあります。また、生まれつき皮膚広範囲に色素性母斑がひろがっている場合には、巨大色素性母斑と呼ばれ、将来、悪性化することもあるともいわれています。ホクロがいつのまにかできて次第に大きくなる、色の濃淡がある、形状が左右対称でない、境界が不明瞭、傷ができて治らない、などは悪性の可能性があります。
ほくろが気になったら早めに形成外科を受診してください。その大きさや部位によって、綺麗で目立たない傷跡となるように手術方法をご提案させていただきます(保険手術)。
顔シミ(脂漏性角化症、老人性疣贅)
顔や首、頭皮などの日光に当たる部分にできやすく、多発している方が多いです。その名の通り年齢を重ねるごとに発症率があがり、80歳以上ではほぼ100%の方にできるとも言われています。加齢による皮膚の老化現象や紫外線が原因と言われています。色は多くは褐色調ですが、正常の皮膚色から黒色調のものまでさまざまな濃さのものがあり、よくみると表面がザラザラしているのが特徴です。放置しておいても体に害を及ぼすことはありませんが、痒みを伴うことや見た目が良くないこともあり、治療を希望される方が多いです。液体窒素による治療では完全にとれるまで複数回治療を行う必要があるため、当院では腫瘍のみを削り取る局所麻酔手術をお勧めしております。
粉瘤
診察をしていると色素性母斑や脂漏性角化症の次に多くみられ、体中の何処にでも出来る良性の皮下腫瘍です。発生の原因は判らない場合が多いのですが、外傷の後やニキビ痕にできることもあります。皮膚の上皮成分(表皮や外毛根鞘)が袋を形成し、その中に老廃物(アカやアブラ)が貯まってできます。自然に無くなることもありますが、多くは放っておくと徐々に大きくなりになることもあり、新生児の頭くらいの大きさになることもあります。感染すると膿みがたまり激しい痛みを伴うため、大きくなりすぎる前に手術にて切除することをお勧めします。
脂肪腫
通常、痛みなどの症状は無く、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして触れます。脂肪と似ていますが、皮下脂肪とは異なり、手術でのみ取ることが出来ます。脂肪腫自体は良性のできものですが、稀に悪性の脂肪肉腫というものもあります。長い年月をかけて徐々に大きくなってくるため、小さいうちに切除することで傷跡が小さくて済みます。首やワキなど血管や神経が多い部分では画像の検査を行ったうえで手術方法を検討いたします。
石灰化上皮腫
毛穴に由来する腫瘍で、石灰化しています。そのため触ると石の様な硬さを感じるのが特徴です。顔、首、肩、上腕などに多く、お子様に多い腫瘍です。生まれつき認めることもあります。悪性のものではありませんが、感染すると痛みや膿を伴います。また、硬さもあり見た目にも盛り上がって見えることから手術を希望される方が多いです。お子様の手術は、特に年齢は定めておりませんが、歯医者さんの麻酔の治療が落ち着いて受けられる様であれば局所麻酔手術が可能であると考えられます。注射が苦手なお子様や恐怖心の強いお子様の場合は全身麻酔での手術になるため関連施設へご紹介させていただく場合もございますが、まずは一度ご相談ください。
皮膚線維腫
良性の皮膚腫瘍で、触ると皮膚の浅い部分に、少し盛り上がった茶色で硬いシコリが触れます。大人の腕や太腿にできることが多いです。通常無症状ですが、まれに痒みや圧痛(押すと痛い)が伴います。原因は不明ですが、虫さされなど、傷からできると言われています。治療は手術にて切除となります。
アクロコルドン・スキンタッグ
夏になって、首の開いた洋服やタンクトップを着るようになると、首の周りや胸、ワキにできた小さなイボが気になりませんか?このイボのことをアクロコルドンまたはスキンタッグと言います。大きさは1~3mm程度のものが多く、皮膚面から少し飛び出ています(アクロコルドン<スキンタッグ)。20歳代からでき始め、中高年以降に目立ってきます。良性の皮膚腫瘍(軟性線維腫)の一種で、特に心配な病気ではありませんが、衣類でこすれたり、「触った感じがザラザラして気になる」と、切除を希望し来院される方が多くいらっしゃいます。麻酔を使って簡単な処置ですぐ取れるため、お気軽にご相談ください。
軟性線維腫
ポリープ状に皮膚が隆起している良性の皮膚腫瘍で、30歳代以降にできてきます。紫外線の影響、皮膚の老化や、摩擦などの物理的刺激、肥満などによってできると言われていますがはっきりとした原因は特にわかっていません。小さいものはアクロコルドン・スキンタッグとも呼ばれます。塗り薬などでは治癒しないため、手術にて切除します。
毛細血管拡張性肉芽腫
皮膚からもり上がりジュクジュクした、赤い血まめのようなできものです。小さな血管と炎症細胞からできているため、ちょっとこすっただけですぐに出血します。急に大きくなりますが、放って置いても数カ月から数年で自然になくなることもあります。なかなか治らない、出血して煩わしい場合は切除手術をお勧めします。
皮膚悪性腫瘍
「最近顔のほくろが大きくなってきたけど、このほくろは『がん?」「昔できたやけど痕になかなか治らない傷ができたけど…?」「足の裏のほくろは悪いもの??」
皮膚は目に見える臓器であるため、日常生活の中で鏡を見たり、家族に指摘されたり、早期に見つかることの多いがんです。皮膚がんの中には様々な種類があり、その中には切除してしまえば予後のよいがんも、早く進行・転移し予後の悪いがんもあります。大きい、色むらがある、左右非対称、出血しやすい・・・など、気になるできものを見つけたら皮膚腫瘍の専門家を受診してください。適切な治療を行うことで予後は変わります。
また、紫外線は皮膚がんの発生を上昇させるとも言われていいます。日常的な紫外線ケアは皮膚がんの予防にもつながるため心がけてください。
しこりや傷、足が腫れて痛い
もともとしこりがあった所が痛くなってきた(“炎症性粉瘤”)、擦り傷や靴擦れの後から足が腫れて痛くなってしまった(“蜂窩織炎”)・・・いずれにおいても細菌等によって感染を引き起こしている状態です。少しでも早く痛みを軽減していただけるよう膿を出す処置や、抗生剤による治療が必要になってまいります。このような場合、当日の予約が取れなかった場合でも、お電話にてご相談ください。
炎症性粉瘤
粉瘤はもとものとしこりとして存在し、細菌感染によって突然赤く腫れ、痛みを伴います。この状態では手術ができないため、麻酔をして切開し、皮膚の下に溜まった膿を外に出します。来院時、すぐに処置をさせていただく場合があるため、時間に余裕をもってお越しください。切開しよく洗い、抗生剤を内服していただくと、数日で腫れや痛みといった症状は改善します。定期的な通院やご自宅での処置を行っていただくと、2-4週ほどで傷が治ってきます。このままでも良いのですが、再度大きくなったり腫れたりすることもあるので、少し期間を置いて根治手術をすることをお勧めします。
蜂窩織炎
蜂窩織炎は、細菌(黄色ブドウ球菌など)による皮下脂肪組織から皮膚の深い部分の感染症です。通常皮膚は細菌が外から侵入するのを防止する役割を持っていますが、皮膚炎、けが、水虫などの皮膚の損傷により細菌が侵入して引き起こされます(全く感染源が特定されないこともあります)。
→このような状態が、表皮(皮膚の浅い部分)で発症した場合は伝染性膿痂疹(とびひ)といい、手足の指先で発生した場合はひょう疽といいます。
よく発症する箇所としては、足背部や下腿部です。感染した部分が赤く腫れ、痛みと熱感を生じますが、場合によっては発熱・頭痛・悪寒・関節痛を伴う場合もあります。基礎疾患に糖尿病がある方など、感染がさらに悪くなれば、菌血症(血液中に菌がふえてしまうこと)や壊死性筋膜炎を引き起こし、下肢切断の可能性や、命にかかわることもございます。症状に応じて入院が必要な場合は、連携施設へご紹介させていただきます。
傷跡が盛り上がってかゆい
けがや手術など、傷ができてからしばらくの間、傷が赤くミミズ腫れのように盛り上がる状態を「肥厚性瘢痕」といいます。深い傷や関節や首など、体が動くと引っ張られる場所の傷は肥厚性瘢痕となることが多いです。、肥厚性瘢痕よりも炎症が強いものがあり、それを「ケロイド」といいます。ピアス穴や虫刺され痕が赤く盛り上がったり、元の傷の範囲を超えてミミズ腫れが広がってきている状態です。いずれも見た目の問題だけでなく、痒みや痛みを伴うこともございます。圧迫治療やステロイドによる治療を行うことで、症状の軽減を図ることができます。また、傷跡の赤みには自費にはなりますが、レーザー治療も効果があると言われております。たかが傷跡、されど傷跡。少しでも苦痛を軽減するお手伝いができればと存じます。
肥厚性瘢痕・ケロイド・瘢痕拘縮
先述した肥厚性瘢痕やケロイドをほっておいた場合、また効果の弱い治療を続けてしまった場合、関節などで引きつれを起こすことがあります。これを「瘢痕拘縮」といいます。肥厚性瘢痕、ケロイド、瘢痕拘縮という状態は、以下に示した様々な悪条件が重なると生じると言われています。
- 傷の深さ
- 傷の治り方
- 傷にかかる力
- 妊娠・女性ホルモン
- 高血圧
- 全身の炎症
- 過度の飲酒や運動
- 遺伝的な問題
これらによって生じた瘢痕やケロイドの治療には以下のようなものがあり、1つだけではなく複合的に行うことでより、効果を得ることが出来ます。
- 1)飲み薬
- 2)塗り薬(ステロイド)
- 3)貼り薬(ステロイド)
- 4)安静・圧迫・固定具
- 4)安静・圧迫・固定具
- 5)注射(ステロイド)
- 6)レーザー(保険適応外)
- 7)手術手術をすることで、肥厚性瘢痕やケロイドが増悪することも言われていますが、縫い方の工夫や、術後の圧迫治療、ステロイド治療、放射線治療も併用することで再発のリスクを減らすことが出来ます。
エクラープラスター、ドレニゾンテープ
抗炎症作用をもつステロイド剤です。ケロイド、虫さされ、湿疹、痒疹などの治療に使用します。
使用方法
- 12時間または24時間毎に貼り替えます。
- 患部洗浄し、よく乾かしてください。
- テープを患部と同じか、一回り小さく切って貼ってください。
注意
- 忘れた場合は気がついたときに貼りかえてください。
- 次に使う時間が迫っていたら1回分を飛ばしてください。
- 正常な皮膚には貼らないようにしてください。
物が見えにくい、肩がこる
「年をとってものが見えにくくなった」「瞼がたるんできた」「最近肩がこる」そう感じている方はいらっしゃいませんか?その背景に以下の①-⑩の症状があれば、それは“眼瞼下垂症”かもしれません。眼瞼下垂症の治療は手術しかないのですが、手術は保険診療にて行っております。身内の方でこのような症状にお困りでしたら、年齢のせい・・・と諦めないで一度ご相談ください。
- 額の横シワがめだつ
- 眉毛があがっている
- 瞼が重いくだるい
- 二重の幅が変わった
- 目の形が△にみえる
- 上まぶたがくぼんでいる
- 物を見るとき顎をあげてしまう
- 目をこすることが多い
- ハードコンタクトレンズを長いこと使っている
- 眼科にて白内障の手術を受けた
眼瞼下垂症
眼瞼下垂症とは、上まぶたが十分に上がらない状態のことです。上まぶたを上げるための筋肉(上眼瞼挙筋やミュラー筋)の延長である腱膜という組織が、加齢や目をこする動作により、ゆるんだり外れてしまうと、まぶたが上がりにくくなってしまいます。また皮膚のたるみや筋肉自体の衰えも、原因となります。瞼が上がらず、黒目(瞳孔)の部分にかかってしまうことで、物が見えにくくなり、眠そうな印象を与えます。また、おでこの筋肉(前頭筋)を使ってまぶたを上げようとするため、まゆ毛の位置が高くなり、額のしわが目立つようになります。さらには頭痛や肩こりの原因になることもあります。
まぶたがピクピクする
眼輪筋という目の周りにある筋肉は瞼の開け閉めをする役割があります。これが何らかの原因により、本人の意思と関係なくけいれんすることを眼瞼痙攣(がんけんけいれん)といいます。「まぶたがピクピクする」「まばたきが増えた」「光をまぶしく感じる」「目が乾く」といった目の不快感だけでなく、病気が進行すると、まぶたを開けるのが困難になったり、頬や口元までけいれんが及ぶこともあります。症状を和らげるために、目の周囲の筋肉へボツリヌス注射を行います(保険適応)。
眼瞼痙攣
眼輪筋の痙攣(けいれん)により、まばたきの制御に異常を来す病気です。原因ははっきりしていませんが、神経における何らかの伝達異常と考えられております。ストレスや疲れなど精神的なものや、安定剤・睡眠導入剤・抗精神薬の副作用として起こる場合があることも報告されています。放置すれば進行する治りにくい病気で、40代以上の女性に多いといわれています。まぶたの運動障害に加えて、感覚が過敏になるため日常生活にも支障をきたします。ボツリヌス注射により症状の緩和をはかります。内服治療やその他の治療を合わせても改善が見られない場合は、手術を行うこともあります。
汗で困っている
緊張することを「手に汗握る」といいますが、手足やワキ、顔の汗がコントロールで傷、通常の人よりずっと多く認める状態を多汗症といいます。汗はエクリン腺という汗腺から分泌され、体温調節には欠かせませんが、多すぎると「いつも顔から汗がふきだしてしまう」「手足が常にぐしょぐしょ」「ワキの汗のせいで服を選ばなければならない」といった生活に支障をきたします。多汗症の場合、塩化アルミニウム外用(自費治療)、ボツリヌス治療(ワキのみ保険適応)、内服治療(保険適応)などを段階的に行ったり、組み合わせたりしてコントロールしていきます。
ワキの多汗症に対するボツリヌス治療においては、以下の項目が当てはまる場合に保険適用になります。
足の爪トラブル(巻き爪)
運動やハイヒール等の先の細い靴が原因で爪の形が変わることがあります。爪の食い込みにより痛みを伴うだけでなく、食い込んでいる爪の端が膿んでジュクジュクしてしまうこともあり、この場合は大変な痛みを伴うこともございます。ワイヤーによる治療(自費治療)や局所麻酔手術の治療にて症状を改善することが出来ます。
巻き爪(弯曲爪、陥入爪)
男女を問わず、巻き爪の症状で悩んでいる方が増えており、患者さんの数は約10人に1人の割合と言われています。巻き爪になるのは、負担のかかりやすい親指の爪であることが多いのですが、その他の指の爪も巻き爪になることがあります。巻き爪が進行すると激しい痛みを生じるだけでなく、足をかばおうと、足首やひざ、腰にも負担がかかり、捻挫やひざ痛、腰痛の原因になることもあります。「陥入爪(かんにゅうそう)」「弯曲爪(わんきょくそう)」「爪甲鈎弯症(そうこうこうわんしょう)」という3種類に分かれております。爪がくるっと巻いてアルファベットのCのようになっているものを「弯曲爪」、平らだけど端の皮膚などに食い込んだ状態になっているものを「陥入爪」といいます。
弯曲爪、陥入爪の原因としては
- 間違ったサイズの靴やハイヒール
- 深爪
- 指への打撃(スポーツ等)
- 体質
また「爪甲鈎弯症」は年配の方に多く見られ爪が分厚くなってしまっている状態で、ヤスリなどで爪の形を整えることで対処します。
足がむくむ、血管が浮き出ている
“下肢静脈瘤”というものをご存じでしょうか。足の比較的浅いところ(脂肪の中)にある、大伏在静脈や小伏在静脈という静脈が原因で起こる疾患です。通常、静脈の中にある逆流防止弁の働きにより足先から太ももの方向に向かって一方通行で血液は流れるのですが、この弁の機能が障害され、立った状態では血液が逆流して下へ戻ってしまいます。そして血液が必要以上にたまったり(うっ滞)、静脈圧があがってしまうことで、静脈が蛇行し、拡張してコブ(瘤)を形成することもあります。見た目では太ももの内側に青い血管が浮き出たり、表面に細く蜘蛛の巣のように血管が透けて見えます。血縁の家族に同じ症状のある方、立ち仕事が多い方、ご高齢の方や女性(特に妊娠・出産後の女性)に多いと言われています。レーザー治療や手術治療、硬化療法(いずれも保険診療)などにより症状が改善いたします。足がむくみやすい、血管が浮き出ていると気になる方は超音波検査にて診断をすることが出来ます。また着圧のストッキングを使用することで症状を緩和することもできますのでご相談ください。
逆さまつげ(睫毛内反症、眼瞼内反症)
睫毛内反(しょうもうないはん)のほとんどは生まれつきで、まつ毛の生える向きが内向きであることにより眼球に接触している状態です。乳児期に内側の下まぶたによく観察され、成長とともに自然によくなりますが、数%の人は自然治癒せず大人になっても症状が改善しません。
また、加齢に伴いまぶたの張りが失われると、まぶたが内側にひっくり返り、眼瞼内反(がんけんないはん)の状態になります。70歳代の約3%,80歳代の約5%の方にみられると言われています。
この逆さまつげの刺激により、角膜と結膜の表面に傷が付いたり、長期間持続すれば、角膜が混濁したり、乱視をきたしたりします。お子様の場合、まつ毛が目に触っていることに慣れてしまっているので、自ら症状を訴えることはほとんどないため、保護者から「目がゴロゴロしないか」「まぶしくないか」など、問いかけることが必要です。眼がうるんでいる、充血しやすい、目やにが出るなどの自覚症状により眼科を受診されまつ毛を抜くことで対処されることも多いのですが、手術にてまつ毛の生える向きを変えてあげることで根本的な治療となります。
耳垂裂
耳垂裂とは、何らかの原因で耳たぶ(耳垂)がさけてしまった状態をいいます。生まれつきのものと、ピアスによって引きちぎられた場合や、外傷などによる後天的なものとがあります。これらは手術によって正常な形に治療することができます。場合により保険も適用されます。
また、ピアス穴についても就職活動などで閉鎖を希望される方も多く見受けられます。こちらについても自費にはなりますが手術を行っておりますのでご相談ください。
鼻骨骨折
鼻骨は鼻の上半分を形作っている、薄い骨です。そのため比較的弱い力でも簡単に折れてしまいます。鼻骨が折れるとほとんどの場合、鼻血が出ます。また、折れた直後は"く"の字型に曲がっていたり凹んでいたりするのがわかります(しばらくすると腫れによりわからなくなります)。放っておくとそのままで固まってしまうため、見た目が悪いだけでなく、鼻の通りも悪くなることもあります。1~2週間でくっつき始めるため、なるべく早めに折れた骨を元の位置に戻す手術を行う必要があります。局所麻酔でもできますが、お子様や不安感の強い方は全身麻酔での手術をお勧めします。
ガングリオン・粘液嚢腫・滑液のう腫
ガングリオンは中にゼリー状の物質の詰まった腫瘤です。手首の甲の部分にしばしば生じます。関節の周辺に米粒大からピンポン玉大の腫瘤ができ、軟らかいものから硬いものまでさまざまです。通常は無症状なことが多いのですが、時々、神経のそばにできると神経を圧迫して、しびれや痛み、運動麻痺などを起こすこともあります。手を使いすぎると腫瘤は大きくなることがあります。また、手や足の指の第1関節にできるガングリオンのことを粘液嚢腫といいます。
ガングリオンは腫瘤のみで無症状なら、放置しても心配はありません。ただし、診断をするため医療機関を受診しましょう。大きくなるもの、痛みが強いもの、運動障害のあるものは治療が必要になります。注射器で中身を吸引したり、手術を行いますが、手術をしても再発する可能性もあります。
滑液のう腫は滑液包(少量の液体が入った関節を守るクッションの役割をしている袋)の一部が膨らんでいる状態で、通常は原因不明です。肘やくるぶしにできることが多く、外傷や酷使した場合(正座を多くした等)、感染などが原因となることもあります。何らかの刺激や原因で炎症と腫れ、痛みがおこった状態を滑液包炎といいます。治療は、感染ない場合は、安静に刺激を与えないこと、穿刺し中身を抜いた後にステロイドを注射することで改善することがあります。
ガングリオンとの違い
滑液のう腫は滑膜で裏打ちされた線維性の被膜をもつのう胞(袋状のできもの)で、中に黄色っぽいサラサラした液体が入っています。もともと関節包という袋が炎症などをを起こしてこぶ状になったものです。反面、ガングリオンは滑膜による裏打ちのないのう胞で、中にドロドロネバネバした透明の粘液が入っています。また、滑液のう胞とは違い、関節周辺の組織の一部が変化して袋状になり、ゼリー状の物質がたまってこぶ状になります。
魚の目・タコ(鶏眼・胼胝)
繰り返し同じ部位に圧がかかることで皮膚の表面(角質)が硬くなることを言います。魚の目は、硬くなった角質が蓄積しその角質の中心が芯のように硬くなって皮膚の内側へと侵入していくため、歩くときに痛みを伴います。たこも角質のが厚くなるものの魚の目のように芯はありません。いずれも削ったり角質を軟らかくするテープをはる治療を行います。
床ずれ(褥瘡)・難治性潰瘍
床ずれ(褥瘡)は、体のある部位が長時間圧迫されたことにより、血流がわるくなり組織が損傷されることです。数時間と短い時間で発症しますが、治療には長い時間を要します。体位変換を2時間ごとに行う、クッションや体圧分散寝具を利用する、栄養状態を改善するなどの予防がとても大事になります。特に以下の方は褥瘡を発するリスクが高くなりますので気を付けてください。
- 長期間の寝たきりを余儀なくされる方
- 神経障害(糖尿病など)により痛みやしびれを感じない方
- 運動障害のある方(脳血管障害や脊髄疾患など)
- 栄養状態が悪い方
- 皮膚が薄く弱くなっている方